EXHIBITION

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起源の起源
2014
雲肌麻紙、白麻紙、金箔、青墨、胡粉、金属粉、アクリル、印刷物
182272cm
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イムラアートギャラリー東京では、2014年5月24日(土)から6月15日(日)まで、三瀬夏之介個展「Vernacular Painting」を開催いたします。本展は、三瀬にとってイムラアートギャラリーで4回目の個展となります。展覧会初日には、モデレーターに小崎哲哉氏を迎え、赤坂憲雄氏(民俗学者)と三瀬夏之介のトークイベントも開催いたします。

 三瀬夏之介は、和紙や墨などの従来の日本画材を用いながら、アクリル絵具やコラージュなど様々な素材や技法を柔軟に取り込み、自身に身近なモチーフと歴史を感じさせるモチーフを混在させ、「日本画」における「日本」のあり様を問うてきました。1995年に地元奈良で阪神大震災にあい、精神的に絵を描くことができなくなった時期を経て、2009年に山形に拠点を移し後進の指導にあたっていたとき、東日本大震災が起こりました。三瀬はこれらの経験から、この不安定な世の中を生きるために、自分の身体感覚や主観性を手放すことなく、しかしそれらを判断基準とする私的な感覚による絵画を超えるものを強く希求するようになりました。そして近年、そのような現代美術は民俗学的アプローチによって可能になるのではないかと考え、以下のように発言しています。
「自己言及的な絵画ではないものを、個人から出発しつつも、その抽象度を上げたところで、「私」の絵というより、「私たち」の絵をつくりたい。僕が作ったものがみんなに共有されて、様々な語りを生む依り代になるようなイメージ。」
「土地の奥底に降りていって、資料を読んだり、聞き書きした歴史を調べていくことで、民俗学的なアプローチによる現代美術の可能性が開けてくるのではないか。それは、町おこしとか、地域型のアートプロジェクトのようなものではなくて、「美術」の成立以前の状態に立ち返るようなもの。」

今回、三瀬は民俗学的アプローチのよる現代美術の一つのあり方として、「Vernacular Painting」という言葉を考えました。
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「ヴァナキュラー(vernacular)」とは「ある土地に固有の」、「風土的」などと訳される言葉である。近代におけるヴァナキュラーの概念は主に建築分野からはじまった。
バーナード・ルドフスキー『驚異の工匠たち-知られざる建築の博物誌』によれば、その特性は三つ。
建築家なし、職人なしによる無名性、非作家性と関連する『非職業性』。
土地の気候に適した環境制御と、素材の現地調達による『風土性』。
魔術的で非均質な身体を包むコスモロジーとしての『空間性』。
である。ここ最近の私の制作、発表の場面において、この概念がずっと頭から離れないのだが、思えばこれらは近代以降に誕生したアーティスト像を否定するものばかりだ。
中心と辺境との関係が機能しなくなって久しい今、この言葉をキーワードに震災以降の絵画の可能性を考えてみたい。

三瀬夏之介
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2013年4月、国際芸術センター青森での個展を皮切りに、平塚市美術館(2013年7月)、リアス・アーク美術館 (2013年11月)、浜松市秋野不矩美術館(2014年2月)、 奈良万県立万葉文化館(2014年3月) と大規模な回顧展を開催してきた三瀬の、新たな展開をぜひご覧ください。

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三瀬夏之介 個展「Vernacular Painting」

2014年5月24日(土)〜6月15日(日)

三瀬夏之介 個展「Vernacular Painting」

2014年5月24日(土)〜6月15日(日)

レセプション | 5月24日(土)18:00〜 @イムラアートギャラリー東京