この度イムラアートギャラリーでは初となる、三浦光雅による個展「思考の打算」を開催いたします。
三浦は、カンヴァスや紙面に直線を機械的に描き重ねる 〈void〉シリーズで知られています。構図・配色・線の配置といった、本来であれば作家の裁量が最も反映される要素を、フリーの乱数生成アプリケーションに委ね、あえて 「判断の余地」を放棄する制作を試みています。その行為は一見すると極端に合理的ですが、描かれた線には、かすれや滲み、絵具の濁りといった予期せぬ痕跡が残され、結果として制御不能な揺らぎが画面全体に静かな生動感をもたらしています。 「描いているイメージに意味を持たせたくない」と語る三浦は、意味を排除するために計算や操作を自動化し、意識そのものの介在を最小限にとどめようとしています。
その冷徹なシステムの中でなお現れる色彩の層や筆致は、描かれたもの以上に、「なぜ描かれるのか」
「描くとは何か」といった問いを静かに投げかけている。
本展は三浦が学び、作家として活動してきた京都での初めての個展となります。
これまでの軌跡に加え、本展のための新作における三浦の挑戦を会場でご覧ください。