この度、イムラアートギャラリーでは、木村秀樹展を開催いたします。
木村は、版画をルーツに持ち、シルクスクリーン技法を基軸として独自の絵画空間を切り拓いてきた作家です。1970年代より現代版画を代表する存在として活動し、絵画と版画の境界を横断してきました。「半透明」をひとつの主題として、重層する像と物質の関係を提示しました。以降も、絵具をスキージで引き延ばし(スキージング)、さらに幾層にもわたるサンディングを施す工程を通して、絵画表面に時間と行為の痕跡を刻み込んできました。ときに4~5層、多い場合には6~7層にも及ぶ群青のレイヤーは、顔料と透明マットによってミルキーな擦りガラス状の質感を生み出し、窓や鏡のような「見る/隔てる」構造を画面内に立ち上げます。
本展では、180×250㎝の大作をはじめとする新作を含め、2000年以降継続してきたシリーズを中心にご紹介します。画面に連なる格子は、フラクタル図形のようでありながら一つ一つ異なる動きを見せ、反復の中にうまれる差異は鑑賞する人々の目を飽きさせません。平面ながらも奥行を感じさせる画面には、幾何学的な格子の奥に有機的な動きを備えています。
ひとつひとつ作品で表情の異なる青の空間を展開しながらも、一貫してメディウムの境界を押し広げて来た木村の現在地を、本展にてご高覧いただけますと幸いです。